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危険!奴がいます「あなたの中の悪魔」

 あなたは覚えているだろうか。10年近く前に発生した「女子高生コンクリート殺人事件」を。誘拐し、監禁した女子高生を未成年者数人で殴る蹴るなどを数ヶ月繰り返し、顔が原形をとどめていないほど膨らむなどで気持ち悪くなったといって殺害し、隠ぺいするためにその死体をコンクリートの中に沈めた事件を。
 当時俺はこの事件を知ったとき、なんともいえない怒りが込み上がり、そしてその怒りは未だに消えてはいない。
 しかしここに来て、この事件はまた新たな展開を見せて来た。それはネット上でのある書き込みを目にした時だ。「女子高生コンクリート殺人事件を写した、本当の殺人シーン(スナッフビデオ)があるって聞いたけど、本当?」。今、この噂がネット中を駆け巡っているそうだ。
 この噂の真実は後で書くが、この書き込みを目にしたとき、俺はいいようもしれない怒り、そして哀しみを胸の中に感じ取ったのだった。

 事の真相はこうだ。事件のあった数年後にとある小さなビデオソフト制作会社に、あるひとつの企画が持ち込まれた。それが「女子高生コンクリート殺人事件」をモチーフにしたホラーもので、一人の女子高生を数人の男子高校生が非道の限りを尽くすという、なんのストーリーもそして救いもない内容だった。ビデオソフト自体は制作され完成し、一部のレンタル店などに出荷されたのだが、なにぶん題材が題材なので店側が入荷したがらないのと、会社自体このビデオソフトを発売した後に経営が傾き、すぐに倒産したため、本当に少ない数が生産されただけで終わった。
 そのため幻の作品となった(ホラー映画ファンの僕でさえも存在は知らなかったほど)だけでなく、主演していた男子高校生の役をしていた役者数人が、今では名前を聞いただけでわかるほどの売れっ子になったため事務所側が隠したがるのも幻となった一因だ。

 そう、このときのビデオソフトが噂が噂を呼び、実際に殺人シーンを写したスナッフビデオがあったという噂となったのだ。

 真相を聞くとなぁ~んだで終わるかもしれない。しかし俺は、背筋が寒い思いをする。なぜならもし本当にスナッフビデオが存在したとして、みんなはどうしたかったのだろう?
 そんなの見たいに決まってるじゃないか? そうか? そんなに見たいのか?
 なんの罪もない女子高生が惨い思いをし、死んで行くさまがそんなに見たいのか?

 人には怖いもの見たさや、好奇心があることに俺は異存はないし、否定もしない。実際俺もそうだし。しかし今回の件は全然違う。みんなで被害にあった女子高生の死んでゆくさまを見たいと言ってるのと同じことなんだ。
 無理やり誘拐され、家の中で監禁。毎日毎日まさに悪夢のような暴行を受ける。あとに調書を見た人が「背筋が凍りつく思いだ。とても人間のすることではない」と称した暴行が毎日続けられたのだ。
 全身が赤く、黒く染まり、原形を留めていないほど晴れ上がった顔。体中からしたたり落ちる血液は、止まることをしらず流れ落ちる。激しい痛みさえも感じないほど麻痺してしまった身体。
 きっとこの被害者の女子高生は、自分が生まれてきたことさえも呪ったことだろう。

 こういう現実を見たいといってるわけだ。俺にはその感覚が信じられないぜ。
 いや、案外当事者でもなんでもない連中の心理なんてそんなもんかもしれん。
 数年前の神戸の児童殺傷事件「酒鬼薔薇」のときもそうだ。マスコミは街の人々は恐怖におののいているといってたけど、実際容疑者のバカが捕まったときに、カメラにピースサインをしてきたり、「俺今テレビ映ってる」といって携帯で連絡してた野郎とか、被害者の少年のことなんかこれっぽっちも考えず、まるでこの事件を楽しんでいるかのような雰囲気があった。
 そうさ、当事者でない者にとって、事件ほど楽しいショーはないんだ。加害者は当然として、被害者の家まで出向き、記念写真を撮るバカ。被害者の身辺を調べ、ネット上で中傷するバカ。
 去年の新潟での少女9年間監禁事件でもあったじゃないか。救出された被害者の女性の写真を中傷文と共にビラをばらまいたバカもいたじゃないか。
 そう、こいつらにとってその人物が被害者だろうがなんだろうが関係ない。世間を騒がせたネタのひとつであり、自分たちが楽しめるアイテムとしか思ってないんだ。

 そんなこといって、別にビデオソフトを探すぐらいいいじゃん。別に俺・私・僕・我輩は当事者で犯人でもないんだからさ。そう思うかもしれない。しかし考えてみて欲しい。なにかあるたびに自分の娘がネタとして取り上げられてしまう苦痛を。もし仮にスナッフビデオがあったとして、自分の娘が死んでゆく苦しみを笑ってみているバカ野郎が存在するという事実を。
 あなたはそれに耐えられるだろうか?
 いじめ問題にしてもそうなのだが、実は手を下す者だけが加害者ではない。周りの、なにもしない、なにもやらない者も共犯ではないか。
 そう、例え犯人ではなくとも、被害者の女性が苦しむ姿が見たいと思った時点であんたも共犯なのさ。ただ、その場所で手を下さなかった。それだけの違いさ。
 他人の苦しみをまるで暇つぶしの種としか思えない時点で一緒なのさ。

 そしてこの女子高生を笑いながら苦しめた連中。当時俺は自分がこいつらと同じ人間であることが嫌になった。こんな生きていても仕方がないクズ野郎が未成年だという理由で軽い罪になり、今は普通に社会生活をしているというこの事実。こんな残酷な事実はもう信じられないぜ。

 先程のビデオソフトの監督も「映像にされた部分の数十倍、数百倍もの苦しみを、被害者の女子高生は受けたのです」と言っている。そう、しょせん作り物ではない真実の痛みなど人間は創造で生みだすことなんか出来ないのだ。

 そしてその被害者の痛みなんか第三者にはわからない。当然第三者の一人である俺にもわからない。
 だがもし自分が、自分の愛するものが同じ立場になったとき、絶対に笑ってすませることなどできない。出来るはずはないし、それは事件の被害者を笑っているクズな野郎も同じだ。ただ、今は被害にあっていないから笑っているだけで。

 被害者の女子高生は笑いながら自分に暴行を加える者たちをどういう目で見ていたのだろう。こいつらは人間じゃない。悪魔だ。そうだ、こいつらは悪魔だ。そう思っていたに違いない。
 そして残念ながら悪魔はそいつらだけではなかった。この事件についてネタにして楽しむもの。コラムを執筆するもの。ビデオソフトを探したがるもの。犯人が未成年だというそれだけの理由で軽い罪にし、社会生活を送らせているもの。全てが悪魔だった。そしてその悪魔たちは今でものうのうと生きてやがる。
 被害者の女子高生の苦しみは今でも続いている。人間の皮をかぶった、悪魔のために。

 一度被害にあってしまった被害者は、死ぬまで、死んでまでも被害者のままなのだ。悪魔たちのために・・・。


2001 スリープデッド(NBEで連載していたときのコラムです)
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